パラレルに思考する

 人類がどんなに発達して、高度で多面的な思考をするようになったとしても、一人の人間が持っている脳は一つしかない。これをコンピューターの世界では「シングル・コア」という。しかも、人間の思考回路はどこまで行っても、直線的で、早い話が「連想ゲーム」のようなものだ。これも、コンピューターの世界にたとえてみよう。これを「シングル・タスクでのシリアル処理」という。

 要するに、人間の脳というのは、地球上の他の生物に比べても、容量の違いがあるだけで、実は構造的には、そんなに違いはない。

 もし、ここに、「32コア」で「マルチ・タスク、パラレル処理」ができる32個の脳を持ち、2個以上の心臓を持つ生命体が目の前に現れたとしたら、人類は太刀打ちできるだろうか。

 この広い宇宙に、他に生命体がいるとしたら、地球の環境よりも、遥かに長い1日、遥かに長い1年を持つ星もあるだろう。その環境で生命が育まれたなら、その星では、一つの脳、一つの心臓では生きられないかも知れない。心臓も自在に止めたり動かせたりもする、そういう進化を遂げた人類より遥かに長い寿命を持つ生命体が、既にこの地球を訪れていて、どこかで暮らしているかもしれない。

 人類が、宗教や文化の違い、一方的な歴史感や優劣感に基づく思想、肉親の生死に関わる心情や扇動、支配感情、強迫強制観念など、様々な要因で、未だに戦争をしているのは、この人類の持つ思考回路によるところが大きい。

 AとBがケンカをしているとしたら、仲裁に入るときは、まずいきり立っている方をなだめるのが筋だろう。そして、双方を引き離し「どうしたんだ。」と聞く。今、この仲裁が機能していない。どちらかを「悪」として諫める力が働いているからだ。もちろん、誰が見てもA(またはB)が悪いとしても、仲裁する人は、そのジャッジを一旦手放す必要がある。

 今、人類は試されているのかも知れない。ここを乗り切るためには、すべての人類は一度、優劣をもとに考える思考を捨てないといけない。あらゆる人々と、無になって共同することができれば、人類はパラレルに思考して、本当にマルチタスクになれるかも知れない。